Shackletonシャクルトン
1907年、南極探検隊のシャクルトン氏が持参したウイスキーの味わいを再現したブレンデッドモルトです。 乾いたスモーク感と甘いアロマ、スパイスやピスタチオの塩味も重層的に感じられます。 フルーツやシナモンの香味が続き、バニラやハチミツ等の甘味がバランス良く現れるとともに、ほんのりとしたスモーキーな余韻が残ります。
不屈の忍耐で地球の果てに挑んだ探検家アーネスト・シャクルトンの奇跡の物語
1907年、南極探検の英雄時代、イギリス人探検家《アーネスト・シャクルトン》が25ケースのウイスキーとともに「ニムロッド号」に乗り込んで南極点を目指しました。立ちはだかる分厚い流氷に阻まれ南極点到達は果たせなかったものの、当時の最南端到達記録を打ち立て奇跡の物語が語り継がれています。
南極点に挑んで出帆した1907年から1世紀を経た2007年、南極大陸のシャクルトン基地の氷の下から3ケースのウイスキーが発見されました。
地球の果てで100年以上眠り続けていた琥珀色の液体にインスピレーションを得た伝説のマスターブレンダー《リチャード・パターソン》の持つ‘神の鼻’が、様々なモルト原酒をヴァッティングすることで探検隊を支えた当時の味わいを現代に甦らせました。
全ての始まりと逆境に打ち勝つ勝利
アーネスト・シャクルトン卿が探検隊の士気を高めるために、アンタークティック探検（ニムロッド号、1907年）において、個人的にマッキンレイのレアオールドハイランドモルトウイスキーのケースを25箱注文したことが全ての始まりです。
探検からちょうど100年後の2007年、完璧に保存されているウイスキーのケースが3つ、シャクルトン卿のキャンプ地であるケープ・ロイズの氷の下で発見されました。
発掘されたウイスキーはニュージーランドに運ばれ、ニュージーランド南極遺産信託によってキャンタベリー博物館の特設環境とパブリックギャラリーで慎重に解凍されました。
アーネスト・シャクルトン卿は、あくなき冒険心だけでなく強固な仲間意識とリーダーシップを持つことでも知られています。1907年、彼は初めての探検を率いるために「ニムロッド号」で航海に出ました。南極点に到達することを目指す中でこれまでの誰よりも南に到達しましたが、1909年1月9日、厳しい風とクルーの疲労困憊を受けて、命の危険を回避することを理由に引き返しました。
1914年再び出発し、今度は南極大陸を横断することを目指しました。彼の船「エンデュランス号」は氷に閉じ込められて破壊されました。アーネスト卿は5人の仲間とともに小さな救助ボートに乗り込み、過酷な条件の下で凍った海を720海里航海し、サウスジョージアに到達し、そこから山脈を横断して捕鯨基地に辿り着きました。ここから、彼は救助船をチャーターして待ち構えているクルーに戻り、全員を無事に故郷に帰還させました。この偉業は、史上最も偉大な生存劇の一つとして知られるようになりました。
氷の下で発見されたウイスキー
シャクルトン卿は、クルーを団結させるためにウイスキーで妻や恋人に乾杯し、誕生日を祝い、何よりも最も困難な状況に立ち向かって成功するためのチームスピリットを醸成しました。
氷の中で凍った状態で発見された後、世界的に有名なマスターブレンダーである《リチャード・パターソン》は、このアンティークウイスキーを再現するために入念な分析を行い、それを基にシャクルトンという現代のブレンデッドモルトウイスキーを創り上げました。このウイスキーには、南極の氷とそのアンティークウイスキーのDNAが組み込まれています。
南極で発見されたウイスキーをホワイトマッカイ社のインバーゴードン研究所で科学的に分析した結果、中身はインバネスのグレンモール蒸留所のシングルモルトで、 熟成年数は約5〜10年、熟成樽はシェリーのホグスヘッドと推測されました。
しかしながら、グレンモール蒸留所は1983年に閉鎖されていた為、グレンモール蒸留所原酒でのシングルモルトの再現は難しいと判断した《リチャード・パターソン》は、ダルモア、フェッターケン等のハイランド・モルトを主体としたヴァッティングと、バーボン樽とシェリー樽を使用したマリッジ等により、滑らかなバニラ、豊かなフルーツ香と共に僅かにスモーキーさを感じられる100年以上前の味わいをブレンデッドモルトにて再現しました。
「私はこのウイスキーの中にシャクルトン卿の本質を捉えたかったのです。」
By リチャード・パターソン
