Wenteウェンテ
1883年創業のウェンテ は、アメリカで最も長く家族経営され続けているワイナリーです。5代目のワイン生産者カール D. ウェンテは、ウェンテファミリーが培ったシャルドネを受け継ぎ、ウェンテクローンを継承しています。ウェンテを語らずしてカリフォルニアシャルドネを語ることはできません。
先見の明
ゴールドラッシュ時代 ドイツから移住したカール・ウェンテ氏が1883年にワイナリーを創業し、ウェンテの途切れることの無いワインづくりの歴史が始まりました。 多くのアメリカのワイナリーではゴールドラッシュ後のヨーロッパ系ぶどう品種導入により、発展と品質向上に差し掛かるも、1920年～1933年の禁酒法によりワインを含めてアルコール業界全てに沈黙の時代が到来。殆どのワイナリーが閉鎖に陥る中、ミサ用に納めることを許されたウェンテはワインづくりを続けていました。 後に禁酒法が解け、再開したワイン生産者の多くがぶどうの苗木を請うためにウェンテを訪れ、カリフォルニアワイン生産者のつくるシャルドネの多くがウェンテのクローンを使用しました。現在ではカリフォルニアで栽培されているシャルドネ全体の 75% 以上をウェンテクローンが占めています。このような経緯がウェンテが“カリフォルニアシャルドネの創始者”たる所以なのです。 また、かつてアメリカワインの殆どはバルクで「シャブリ」や「バーガンディ」の名で流通されていましたが、ウェンテは1933年に初めてラベルに品種を記した「ソーヴィニヨン・ブラン」を、1936年に「シャルドネ」を発売しました。多様化するニーズや、やがて統制される品質管理を見据えていたのかもしれません。
サステイナビリティの実践
ウェンテはその歴史と更なる永続性を鑑み、2000年に「サステイナブル・ヴィティカルチャー」と称し環境を破壊することなく循環型ワインづくりプログラムを実践し、カリフォルニア州政府に初めて表彰されました。これに多くの生産者が刺激を受け、2003年に「サステイナブル・ワイングローイング実践ガイド」を作成し、カリフォルニア全体としての取り組みがスタートしました。過去の偉大な功績に止まらず、未来に向けて広い視野で探求し続けるウェンテ。まさにカリフォルニアワイン発展の立役者なのです。 1883 年の設立以来、持続可能な農業を行っています。その歴史を通じて、ウェンテはサステイナブル実践のリーダーとして、非営利貿易団体の持続可能なワイン栽培実践規範の実施を支援してきました。 ウェンテはCalifornia Sustainable Winegrowing Alliance から認定された持続可能なぶどう園およびワイナリーです。ぶどう園とワイナリーの両方の認証を取得しているワイナリーは 10% 未満です。この認証は、60 以上のブドウ園と 41 のワイナリーの前提条件について第三者機関によって毎年検証されます。ウェンテは毎年、継続的な改善を実証し、翌年の取り組みに向けた行動計画を継続しています。
将来に向けて
100年後、200年後の世代が永続的にワインづくりを行うため「サステイナブル・ヴィティカルチャー」を実践するウェンテ。 例えばぶどうの搾りかす等の副産物は肥料として土壌に生かし、そこからまたぶどうを産出して循環。リサイクル実行により畑からはワインだけがもたらされます。 また、降雨量の少ないカリフォルニアで水はとても貴重である為、恒常的に灌漑を行うのではなく、それぞれの畑が必要時のみ必要量の水を与えたり、少量の水で栽培可能なぶどうの木を導入したりしています。地中に水を保つため除草剤の使用も最小限に抑えています。 害虫駆除に関しては、害虫を食す益虫を畑に放ったり、害虫が好んで食べる実が成る植物を栽培することでぶどうの実が食べられるのを阻む方法などで、生態系に配慮しています。 そのほか、土壌保全のため「カバークロップ」という地表を覆うクローバーやマメ科の植物が作付けされます。クローバーの具体的作用としては、地中に窒素を取り入れるため土壌が活性化され、マメ科の植物の作用には地中に根を張るため土壌の水分を保つ働きがあります。 将来に向けた取り組みは畑の上だけでなく、電動トラクター導入によりエネルギー消費、燃料、労働力の削減を実行し、サプライチェーンにおいてはボトルの軽量化を図り、資材にリサイクル素材を採用しています。また、従業員の地域でのボランティア参加を促すなど、環境、社会、経済への貢献に対応しています。
5世代続く家族経営
ウェンテには家族によって絶えることなく受け継がれる1200haのヴィンヤードがあります。新しくワインづくりを始めるには、土地や設備に莫大な投資が必要となりますが、自社エステートを所有し、1世紀以上ビジネスを継続するウェンテでは、これらの懸念無くして、自社畑で品質管理されたワインを手頃な価格で提供可能なのです。
ライフスタイル
ウェンテはワインを取巻くライフスタイルの提案にも貢献しています。 ワインと食事とのバランスを最大限に考えた結果、ワイナリーにレストランをオープン。500種類のアメリカワインや、自社栽培の有機野菜を楽しむ事が出来、レストラン単体としても高い評価を得ています。 また、人と人との触れ合いを大切にしており、ワイナリーに併設される野外ホールではシェリル・クロウ等の著名アーティストのコンサートが行われます。 グレッグ・ノーマン設計のゴルフコースも併設し毎年PGAツアーが開催されます。 ワインの数々と共に、これらのアトラクションを提供するウェンテでは年間を通じて多くの訪問者を迎え、社会に貢献し続けています。
快挙！！ウェンテ・ヴィンヤーズの４代目取締役会長キャロリン・ウェンテ氏が2023年の「ワイン・エンスージアスト誌」において、女性初の《アメリカン・ワイン・レジェンド・オブ・ザ・イヤー》を受賞
同誌は、キャロリン・ウェンテ氏は世界的な品評会で数々の賞を受賞する高品質ワインを輩出し続け、名実ともにカリフォルニアワインの名門ワイナリーとして不動の地位を築き上げたことを受賞理由に挙げています。
1977年に父のカール・ウェンテが亡くなると、同氏は弱冠25歳でCEOに就任しました。男性中心の社会が根強く残る当時のワイン業界で、女性の視点を活かしながら積極的に参画し、その才能と手腕を如何なく発揮しました。1980年代から1990年代にかけては、ワイナリーに自家農園直送の料理を提供するレストランやグレッグ・ノーマン設計のゴルフコースの併設、ジェームス・テイラーやシェリル・クロウといった大物ミュージシャンによる野外コンサートなどを開催し、ワインツーリズムの先駆者として業界を大きく牽引しました。また、海外への販路拡大にも取り組み、現在では同ワイナリーの生産量の約35％を占めるまでに成長するなど、先進的な戦略で事業基盤を強化しました。
女性として男性社会の見えないハードルに挑み続け、業界を牽引するリーダーシップを発揮しながらも、品質へのこだわりから家族経営を貫いた功績を顕彰し《アメリカン・ワイン・レジェンド・オブ・ザ・イヤー》が授与されました。
ウェンテ・ヴィンヤーズは、アメリカで最も長く続く家族経営のワイナリーであり、キャロリン・ウェンテが４代目取締役会長であることを誇りに思っています。2023年に女性初の《アメリカン・ワイン・レジェンド・オブ・ザ・イヤー》を受賞する快挙は、キャロリン・ウェンテのワイン業界での42年のキャリアとウェンテ・ヴィンヤーズの創業140周年のビジネス年に相応しい締めくくりです。彼女は、《アメリカン・ワイン・レジェンド・オブ・ザ・イヤー》に選ばれた初めての女性であることと、レジェンドの仲間入りを光栄に思い、こう述べます。『この賞を受賞できることに心から感謝しています』『当ワイナリーが長らえてきた理由はひとりの人物に帰することはできません。私たちは前の世代の肩に乗って立っているように、私もまた、私の兄弟と共にいます。彼らなしでは、ウェンテ・ヴィンヤーズは今のポジションを築くことはなかったでしょう。私は家族と共に働きながら、持続可能な拡張、ワインの品質向上、ワインと食べ物の楽しみ方、ワインのあるライフスタイルを皆さまと共有するためにワイン業界でのキャリアを歩んできました。私たちがこれまで成し遂げてきたことに誇りを感じており、5代目が指揮を執る中で継続的に目標を達成し続けています』
ワイン・スター・アワードは毎年表彰者が選出されますが、《アメリカン・ワイン・レジェンド・オブ・ザ・イヤー》の名誉は2000年以来、わずか数回しか授与されていないことからその偉業を物語っています。
