Jean Noel Hatonジャン・ノエル・アトン
ジャン・ノエル・アトンはどの資本にも属さない独立した家族経営のシャンパーニュハウスで、エペルネの近くのマルヌ・ヴァレーの南西向きの丘陵のダムリー村にあります。そこはシャンパーニュづくり最良の場所です。
創業時わずか数ヘクタールだった自社畑を現在20ヘクタール迄拡張したのは創業者であるジャン・ノエル氏の努力の賜物です。
自社畑に加えて40年ほど前から農家と契約し、現在、家族が今も拠点を置いている歴史的な村、ダメリーの周囲に点在する 60 ヘクタールのブドウ畑 (自社畑の 45 ヘクタールを含む) を栽培しています。天候不順なシャンパーニュで、ゆかりのない栽培農家からぶどうを仕入れることは難しく、60ヘクタールの栽培を可能にしているのは揺るぎない信頼の証です。
契約栽培といえども畑は全てジャン・ノエル氏が徹底的に監視し、自社栽培と同条件下にあります。
自社畑から手の尽くされた完璧な品質が得られ、契約栽培畑から同等の品質と安定供給のメリットを享受する《ジャン・ノエル・アトン》は完璧なる中規模サイズのシャンパーニュハウスです。
市場を席巻するシャンパーニュのほとんどが、大手グループに属する中、《ジャン・ノエル・アトン》はどの資本にも属さない独立した家族経営を貫いています。
このようなバックグラウンドに裏打ちされた《ジャン・ノエル・アトン》は品質、供給、独自性の面で実に「ちょうどいいシャンパン」なのです。ちょうどいいとは他にとって代わるものがないこと。唯一無比にして絶妙な状態にあり、確固たるシャンパン。それが《ジャン・ノエル・アトン》です。
ワイン界の宝石生誕の地、シャンパーニュ地方
シャンパーニュ地方の鍵は白亜質の土壌とこの地を流れる川が握っています。北を流れるヴェール川と南のマルヌ川が合流してセーヌ川となり、その終点がパリなのでワイン生産地の中で最もパリ近くに位置するのがシャンパーニュ地方ということになります。シャンパーニュに使用するぶどうは規定で定められており現在３つの品種（ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ）がほとんどを占めますが、ブルゴーニュ地方とシャンパーニュ地方の気候は似ていて、地球温暖化による気候変動により将来的にはシラーが生産されると言われています。ちなみにシャンパーニュ地方から１５０?南にシャブリ地区があり、南北に延びるブルゴーニュ地方はそこから始まっています。 シャンパーニュ地方では、シャルドネ、ピノ・ノワールの栽培に適した気候で涼しさがぶどうに良いストレスを与え、温暖化によりピノ・ムニエが貴重な品種になるかもしれません。３つのぶどうの特徴を見ていくと、ピノ・ノワールがシャンパーニュの主たる骨格で家族の柱となる父、シャルドネはエレガントさを加える役割で言うなれば母、ピノ・ムニエはフルーティさをもたらすが繊細で栽培しづらくまるで１０代の娘、といったところです。 エリア的には、シャンパーニュ地方の主要産地は３つに分けられ、北はモンターニュ・ド・ランスエリアでピノ・ノワールを栽培、真ん中にあるヴァレ・ド・ラ・マルヌエリアはピノ・ムニエの本拠地、南のコート・デ・ブランエリアはシャルドネを栽培しています。 ジャン・ノエル・アトンのメゾンはヴァレ・ド・ラ・マルヌのダムリー村にあり、エペルネから６?離れた場所に位置しています。ダムリー村は川のすぐ側の傾斜が厳しい場所にあり、土壌は白亜質だけでなく海に由来する貝殻からなる砂質で構成され、ランスとは異なるミネラリティな特徴を持ちます。貝の化石が川によって運ばれ堆積してできた土壌からなるダムリー村の近くには、ドンペリニョンの産地であるオーヴィレールがあり、シャンパーニュ発祥の地とされています。
ジャン・ノエル・アトンの始まり
その歴史は、ルイ １３ 世治世中の 1610 年にフランソワ アトンがダムリーの最初の区画を取得したことに始まります。1928 年、オクターヴ・アトンは自身のシャンパンの醸造を開始し、家業に新たな刺激を与えました。自らのルーツを誇りに思い、未来に目を向けるアトンファミリーは、ほぼ ４ 世紀にわたるシャンパーニュの歴史を体現しています。
どの資本にも属さない独立した家族経営
アトンはファミリービジネスでどの資本にも属さず、今はジャン・ノエル夫婦と息子であるセバスチャン夫婦の4人の家族で経営しています。ジャン・ノエル氏は毎朝4時に起床。とても大きな手をしていて農夫のように畑の中で働き、5時からは事務所でデスクワークに就きベルギーやドイツまでデリバリーの手配をします。ジャン・ノエル氏は昔気質で、デジタル全盛下においても、運転の際カーナビやデジタル機器は使わず紙製の道路地図を使うことなど、アトンがシャンパーニュ地方でベストなメゾンのひとつと言われれる所以が窺えます。
ジャン・ノエル・アトンという人物
ジャン・ノエル・アトンのブランドは名祖である彼の価値観とイメージそのものを反映しています。彼の固い握手は強さを映し、明るい青い瞳の熱視は揺るぐことはありません。その強さは性格のやさしさと深い感受性をうかがわせるわずかに丸みを帯びた顔で相殺されています。彼は人生を楽しんでいます。口数少なく静かに語り、超然として真面目な雰囲気ですがとても愛すべき性格の持ち主です。 彼のワインとぶどうについての知識は無限です。ワインとぶどうは彼の情熱であり、大いなるよろこびをもって語ります。彼の話に耳を傾けると人の心をとらえるような体験談を聞くことができ、話を止めることはできません。彼の生来の慎重さはぶどうとワインに対する愛着と仕事に対する情熱を大切に持っていることを意味します。彼の心、寛大さ、人間性は彼の経験を伝えたいと言う欲求とともに彼の中に吹き込まれているのです。このゆえに彼は自分の時間を割いて知識を与える指導者になりました。 ぶどう栽培農家やワイン供給者との間に築いた関係は、彼が人と人のきずなを創造する能力を持つことの生きた証です。周辺のぶどう畑で働く人々にジャン・ノエル・アトンを知っているかどうかを聞けば、もちろん知っていると言います。彼は自然環境保護を重んじる近代的なワインづくりを築き、創造し、将来を考える度量が広いワイン生産者です。 彼は自分のぶどう畑に水力発電の設備を取り付けることを郊外の町の集会で約束し、また、自ら所有した後は共有化することをいとわないと言います。 ジャン・ノエル・アトンは独習のワイン生産実業家であり確固たる土台の上に彼の人生を築き、会社を築きました。勤勉さと誠実さ、高い基準と卓越を目指すことの真価は時間と経験を通してしか創造できません。
