スタッフのつぶやき
きつねとたぬきの教え
歳を重ねて新たな経験が少なくなり、低刺激な年末年始を送る中で発見したこと。
数年前の大晦日、家で簡便に年越しそばを食そうとしてスーパーに向かいました。
色々疲れちゃってるんだから年の瀬はなるべく楽に楽に~と唱えていたところ、簡便食の権化であるカップ麺の存在に気付き、「きつね」がトッピングされた商品を選んで帰宅。
テレビの年末番組を見ながら年越しそばの時間を迎え、「そば」を食べることで脳と胃が合意する状況で蓋をめくりましたが、カップの中にたたずむうどんに意表をつかれました。
そうか、カップ麺の「きつね」はそばではなくうどんだったのか!そばを食するには「たぬき」を選ぶのが正解だったんだ!!
自ら手に取っておきながら商品内容をよく確認せず、上の句がきつねなら下の句はそばなのだと勝手に思い込み、よくぞ傍若無人に生きてきたことを一杯のカップ麺に教えられました。
その教訓を胸に「きつね」にも「たぬき」にももう騙されないぞと、再び迎えた年末。
いざ!たぬきを捕獲、と迷うことなくカップ麺コーナーへまっしぐら。
がしかし、そこには「きつね」ばかり居て「たぬき」の姿は見当たらず、またしてもきつねに化かされた気分に。
一年で一番そばが消費される日(?)なんだから「たぬき」は多めに仕入れて置いてよね~と、心の中でわがままを呟いてしましました。
しかしながら、多くの人々と同じタイミングで同じもの(たぬき=そば)を求めようとする生き様はどこまでも凡庸で時に自分勝手であると気づかされ、一杯のカップ麺に発見を覚える大晦日でした。
カップの中のきつね色の液体にスコッチウイスキーを思いました。
明治屋直輸入のブレンデッドスコッチ《クレイモア》は、おかげさまで長きにわたり広く多くの人々にご愛顧いただいており、そういう意味では凡庸な存在ですがいい意味で凡庸です。尖ったところがなく、どこまでもバランスの良い性格の持ち主なんです。一杯のスコッチにも発見があるかもしれません。