スタッフのつぶやき
呼び名の移り変わり
市井の人々は両親や配偶者のことを何と呼ぶのか考えてみました。
交際前は「さん付け」、交際が始まると「ファーストネーム」で呼び合い、婚姻が成立して暫くすると「あなた（おまえ）」など名前から二人称に代わり、子供が誕生すると「おとうさん（おかあさん）」の呼称を授かり、ついでに夫婦間も「おとうさん（おかあさん）」と呼び合い、いつしか我が子から「おやじ（おふくろ）」の貫禄ある呼称を戴冠する。その頃の夫婦は互いを呼ぶのに普通名詞を使うことも煩わしくなり、いよいよ感動詞「ねえ（おう）」など最短発声に変化していく。というパターンが一定数存在するような気がします。
興味深いのは、昨日までの「お父さん」を捨て「おやじ」が始まる堺目がどこなのかということ。職場の上司〇〇課長が次長に昇格するのを知らされた時、給湯室に隠れて「○○ジチョウ！」と発生練習をしたように、明日から「おやじ」と言うことを決心した後オヤジ呼びのハーサルをするのでしょうか。
街なかで、散り散りに歩く家族に対して「チチー！あっちにハハがー！」と伝える子供を見かけました。その独特な呼称は「おやじ」の前段階なのか永久不滅なのか、はたまたオヤジ呼ばわりに対する抵抗なのか想い巡らせてしまいました。
元服や出世で改名する武士を擬し成長に従い呼び名が変わる魚を＜出世魚＞と呼びます。＜出世魚＞は名前に加えて見た目や味わいも変化するのが特徴だそうですが、呼び方が変わるにつれて見た目も中身も劣化、じゃなくて変化していく点は長年連れ添った夫婦も同様です。
ケンタッキー・ストレート・バーボン《バッファロー・トレース》も名を変えて進化します。既に長期熟成したバーボン《バッファロー・トレース》よりさらに長い１０年以上の熟成を経て送り出される逸品が《イーグル・レア》です。
出世魚さながら名を変える縁起の良いウイスキーにあやかりたいですね。
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